七転び八起きズ

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生き死に

「痛くない死に方」という映画を観ました。

 

ざっくりいうと、在宅医療・在宅看護を舞台にした終末期医療のお話。

テーマは重めで、序盤はかなりヘビィな描写があります。

介護や看取った経験のある方からすると、

目をそらしたくなるような場面が出てきます。

私も同様の経験者なので、結構くるものがありました。

現在進行系で経験されている方には、よりつらい内容かもしれません。

 

ただ、患者さんや患者の親族側からの目線と

ケアする側(医者や看護師、ケアマネ)の目線と

双方からの視点で話が描かれいて

ヘビィながらも死に向き合う人たちの心情に触れて

個人的には生き死にを考えるよい機会になりました。

 

作中はところどころに印象に残る言葉が出てきます。

終末期に受ける医療の中での亡くなり方の経緯を

「枯れる」「溺れる」と表現したり

「カルテじゃなく人間を診ろ」というセリフも胸に刺さったな…

 

痛くない死に方というタイトルですが、

先にも言った通り序盤には痛みを伴うシーンが出てきます。

特に終末期を迎えるような患者さんは、

死に方を選べる状況にないことがほとんどです。

そこにどれだけ寄り添って、痛くないを目指せるか。

かなりハードルの高いテーマだと思いますが、

今回柄本佑さんが演じた在宅医師が自らの過去を反省して

自身が目指す終末期医療に紆余曲折ながらも向かっていく様は

希望が見える話に思えました。

 

出会うタイミングにもよるけど、どんな医者に出会えるかで

その先の治療や死の迎え方に影響するって考えると怖いです。

自分のその時は、痛くない死に方ができるのかな?

そもそもその判断すら出来ない状況になったら、

延命や治療を拒否するとか意思表示できないし…とか

自分もそれなりの年齢になってきたので、

元気なうちにエンディングノートを記しておくのも有りだなと

ネガティブながらも前向きに考えてみたり。

 

それにしても、今回の俳優さん方の演技は息を呑むほど素晴らしかった。

柄本佑さん、奥田瑛二さん、余貴美子さん、宇崎竜童さん、大谷直子さん

そして一番すごいと思ったのは、坂井真紀さん。

私の語彙力が残念なのでうまいことは言えないんですが、

序盤の辛い在宅介護の様子は本当に観ていて苦しくなるほどで

あんなに気持ちの入る演技ができるのは本当にすごいと思います。

 

全112分、あっという間でした。

若い人ほど観て欲しい、気もする。

あくまでも「気もする」です…

内容が内容なので、おすすめ!とは言い難い。

でも、今回も観てよかったと思う映画でした。

 

 

 

 

ピグパグ